ふかふか団地ブログ

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2017年観た映画11本についての覚書き その③

 

fukafukadanchi.hateblo.jp

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年を跨いでしまいましたね……

 

⑨劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~

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皆様すでにお気づきかと思うが、京都アニメーションは『劇場版』と『映画』という表現を明確に使い分けている。

 

『劇場版』と銘打たれた作品については、ストーリー的には新規性の薄い、描き下ろしカットを含めたアニメシリーズの再構成版であり『映画』と銘打たれた作品は、シリーズの延長線上に作られた単体の物語となっている。

 

しかし、この作品に限って言えば『劇場版』でもあり『映画』でもあったというのが、観終えた直後の純粋な感想だった。

 

正直、マジで何故そんなことが出来たのか不思議で仕方がないし、俺は京都アニメーションという会社が恐ろしくて仕方がない。なんで整理と構成と僅かな新規カットだけで、一本の『映画』を新しく生み出せてしまうの?

 

実は、この映画を観た段階では、この劇場版の下となった『響け!ユーフォニアム』第2期を私は完走しておらず(作品に何か思うところがあったわけではなく、カロリーが高いカロリーが高いと言って後回しにしすぎた結果である)この映画の後に改めて完走することになったのだけど、2期の物語を知ったことで、さらにこの映画が恐ろしくなった。

 

エモというのは、時に人間を殺すことがあるので、京都アニメーションさんには是非気をつけて頂きたい。人死にが出るタイプの凄い映画。劇場版としてではなく、映画として2017年ナンバーワンはこの作品だったと感じている。

 

『映画』だからこそ、ユーフォを仮に一度も観ていなかったとしても、この1本だけで良質なアニメ映画だと受け止められてしまう作品になっている(新海誠監督がその旨をつぶやいていましたね)ので、人類はこの奇跡のような完璧な構成をすべからく体験すべき。

 

 

KUBO/クボ 二本の弦の秘密

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信用している映画好きたちからの評判を非常に良かったので、それを聞きつけて観に行った一作。

 

『物語』の映画だった。一つの物語が終わりを告げても、思い出の中にそれは残り続ける。地上に生き続ける限り、その思い出を奪うことは出来ない。その思い出を語り継いでいく映画であった。

 

物語の中で手に入れた『伝説の武器』が失われた後、クボを構成する両親という二本の弦に『自分自身』を足して立ち向かうシーンが非常に痺れたし泣いてしまった……。それが、嘘でも欺瞞でも「物語の中で人を許す」という帰結にもちゃんと結びついていたように思う。

 

ストップモーション・アニメーションでこの映像を生み出したというの、どれだけ途方もないことなんだと思わされるし、それ自体が何があっても物語を生み出すこと、そしてそれを受け取った誰かに語り継いでもらうことへの強力な熱力を生み出している。

 

強いて言うなら、物語を大きな部分を占める冒険パートが個人的にはあまりノリきれなかった(これはシンプルに私が子供の頃にああいう冒険譚に触れてこなかったことが大きいのかもしれない)けど、ああいう描き方で間違いがないし、絶対に必要がある描写でもあった。

 

評判通りとてもいい映画だったと思うし、なにより人生懸けて生み出された熱量に満ち満ちた映画だったので、多くの人に届くといいなと感じた。

 

 

 

 

⑪パーティーで女の子に話しかけるには

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遠い惑星からやって来た美少女と内気なパンク少年の恋の逃避行を描いた青春音楽ラブストーリー。

1977年、ロンドン郊外。大好きなパンクロックだけを救いに生きる冴えない少年エンは、偶然もぐり込んだパーティで、不思議な魅力を持つ美少女ザンと出会う。

エンは好きな音楽やファッションの話に共感してくれるザンと一瞬で恋に落ちるが、2人に許された時間は48時間だけだった。2人は大人たちが決めたルールに反旗を翻すべく、大胆な逃避行に出る。

 

タイトルの我々っぽさに対して、物語がめちゃくちゃSF(そもそもSF短編小説が原作)で、なおかつ70年代のイギリスパンクの文脈も絡んでくるという、くらくらするような設定の混ざり具合が気になって観に行った作品。

 

私はすぐに物事や発言を整理して噛み砕き直す癖があるのだけど、この映画を観終えたあと、渋谷の街を歩きながら、一緒に観に行ったはらひろさんに15分くらいぶっ通しで話して、一つ一つのシーンの解釈を紐解き直し、物語として自分の中でもう一回戻して、その場ではようやく少しだけ納得することが出来たが、今あらためて言葉にするのは難しいくらい薄い感覚。

 

はらひろさんからは「全部分かろうとしなくても、いいんじゃないかと思いますよ」というようなお言葉を頂いたことを覚えている。最初の混雑した感覚をそのままぶつけられたような感じで、この映画自体が頭で考えるよりも本能を信じろという話でもあったので、正解は”感じること”だったのかもしれない。

 

ただ、観終えた後に残るぐちゃっとした感覚は、決して悪いものではなかったとも思っているので、あらすじやポスターの色彩感覚が気になった人は観て後悔はない作品だとも思う。

 

 

 

まだまだ積み残しがたくさんあるものの、ようやくひとつ2017年を終えることが出来ました……。

 

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