ふかふか団地ブログ

文芸サークル『ふかふか団地』についてのお知らせや、メンバーの日記を公開していきます。

2018年11月25日(日)第二十七回文学フリマ東京に参加予定。
ふかふか団地の既刊小説誌を売っています

アイカツ!名ライブ数え唄②(第34-36話 Take me higher)

まずは第二十三回文学フリマ東京にて、当サークル「ふかふか団地」にお越し下さった皆様、ありがとうございました。

 

まあ、この話は後ほどまとめて書くことにして、ずっと締め切りに追われて書けなかった、アイカツについてのブログの続きを書こうと思います。

 

このブログの直近の記事を見直していたら、ものすごい宣伝フィーバーになっていることに気付いたので、ブログ全体の息抜きの意味も込めて。

 

 

ということで、有言実行です。

 

今回の新刊ニュータウンを含め、これまでずっと、ふかふか団地の表紙や挿絵を描いて下さっているアカシアさんと、私はこの1年弱で、とてつもなく仲良しになりました。強調すると嘘くさくなってしまう……。

 

一番最初に会った日から、お会いするたびに大体、朝から晩まで話し込んでしまうのですが、その中でも、アカシアさんにとってのプリキュアシリーズに対して、自分が持っている同じような熱量の作品として、私がお話していたのが、アイカツという作品についてでした。

 

その後、アカシアさんもアイカツを観始めて下さり、そのことがとても嬉しかったので、アカシアさんにネタバレをしてはならない……。だけどアイカツのことを書きたい……という思いから、初回はアカシアさんが観ている地点からはめちゃくちゃ遠くて、なおかつ1年目の文脈とある程度切り離されている『LOVE GAME』を挙げた部分ました(もちろん、大好きなライブであることに変わりはありません)

 

が、アカシアさんが晴れて1年目を全て観終えたという報告を、文学フリマ会場で一緒にカレーを食べながら受けた(※ここでも話し込みすぎて1時間もブースを離れることになり「ずいぶん遅い昼飯だったね」と、霜月さんより指導が入りました)ため、今回は1年目のライブシーンについて書こうと思います。

 

第34話 一ノ瀬かえでの説得力

 

『Take me higer』という曲について語るとき、いくつかの視点があると思いますが、ここでは「トライスターオーディション」に焦点を絞って書きたいと思います。

 

まず最初に披露されたのは第33話。これはトップアイドル神崎美月が、自分とユニットを組む2人のパートナーを決めるための選考オーディションで、最終選考までたどり着いたことで披露されたステージ。主人公である星宮いちごを始め、神崎美月に憧れ、神崎美月の高みを目指していた多くのアイドルたちにとって、日頃のアイドル活動の成果が神崎美月の目の前で表面化する、1年目の物語でも重要なエピソードの1つです。

 

このライブでは6人までしか絞ることが出来ず、後日、改めてファイナルオーディションに進むことになるのですが、その最中に、突如、空からパラシュートで降下してきたのが「一ノ瀬かえで」というアイドルです。

 

結論から先に言うと、一ノ瀬かえでは登場からたった1話で、トライスターというユニットの2人目の座を射止めることになります。

 

美月さんから与えられた、厳しい試練に数多のアイドルが夢破れ、ユリカ様やおとめちゃん、さくらちゃんなんかも、選考からは落ちてしまいました。残されたのは、かつて美月さんとチームを組めなくなってしまい、それでも、それが叶うのを諦めずにアイドルを続けてきた3年生3人と、いちごちゃん、あおいちゃん、蘭ちゃんだけ。

 

いくら能力があるとはいえ、この時点ではポッと出の存在であるかえでちゃんが、このオーディションに割り込んでくることは、視聴者側の心情としても、本来であれば到底許容できることではないと思います。

 

しかし、そこに説得力を持たせてくれるのがアイカツという作品なのです。

 

アイドルが、アイドルたる所以の説得力というのは、どこに現れるのか。現実世界においても、アイカツの世界においても、そのアイドルが輝く場所というのは多岐に渡ります。

 

ただ、この作品がその輝きを還元し、体現する場所は、決まって「ステージの上」であり、「ライブシーン」に他なりません。

 

 

第34話は一ノ瀬かえでの物語です。

 

物語の中で、海の向こうでかえでちゃんどんなアイカツをしてきたのかが語られ「お客さんを楽しませることが一番」という、強い信念が提示されます。自分の物語に耳を傾ける、いちごちゃん、あおいちゃん、蘭ちゃんでさえも観客であり、ユニットの座を争うライバルにも関わらず「楽しんでもらう」ための演出を怠らないほどの、エンターテイメント性を備えていました。

 

いわば、今回のステージは、視聴者(観客)にとっては、一ノ瀬かえでの物語を証明するためのものでもありました。ここで、かえでちゃんが語っていたことと違うステージを見せられてしまうと、これまで語られてきた物語は、全て虚像になってしまいます。

 

多くを語る必要はありません。

 

上の動画を観てもらえれば、一ノ瀬かえでが、その最初のライブで、それを全て証明してくれたことは明白だからです。

 

少なくとも、このトライスターというユニットで神崎美月が求めていたのは、トップアイドルである自分と組んでも変わらない圧倒的な個性と、それを貫く強い信念だったと思っています。

 

このファイナルオーディションには、全員、自身が着用しているブランドのプレミアムドレスで臨んだことからも「最高のパフォーマンスを見せなければならない」という強い想いがあり、実際にそういうライブを見せていたと思います。

 

ただ、決定的に違ったのは「選ばれること」を意識した3人に対して、かえでちゃんは「神崎美月に選ばれるためのステージ」にも関わらず、ここでも最後までオーディエンスを楽しませるためのパフォーマンスに終始しました。

 

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アイカツのライブシーンにおいて、カメラは生きた意志の一つです。かえでちゃんが多く抜かれたのは、これが初登場のライブだからではありません。一番撮りたくなる表情を見せていたからです。かえでちゃんだけがスペシャルアピールを出したのも、そうした意志が観客の「興奮度」として、かえでちゃんに集約したからに他なりません。

 

ライブが終盤に向かうにつれて、だんだんといちごちゃんたちも、一番大切なことに気付き始めます。かえでちゃんに引っ張られるように、表情に柔らかさが戻り、楽しいという感情が表に出てくるようになるのです

 

それを引き出したのが一ノ瀬かえでであるという事実こそが、一ノ瀬かえでがトライスターに選ばれた理由そのものなのです

 

たとえこれがもっと大きな意志の下、最初から決められていたストーリーラインに乗っかったことだとしても、それをステージで証明してくれた事実は決して嘘にはなりません。だからこそ、たくさんのアイドルたちの血と汗と涙が詰まったトライスターオーディションの中で、一ノ瀬かえでというアイドルの物語を知り、一ノ瀬かえでの選出や、オーディションへの途中参入を認めた美月さんにも、強く同意することが出来ました。

 

この回のアイカツ格言は「オーディションだってステージ!」

 

第34話の『Take me higer』は、それを体現してくれた『説得力のライブ』であったと感じています。

 

 

本当は一つの記事にまとめるつもりでしたが、かえでちゃんのことを書くだけで、ここまで長くなってしまうとは思っていなかったので、2回に分けることにしました。

 

次は、蘭ちゃんユリカ様の話を書きたいと思います。