ふかふか団地ブログ

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2018年11月25日(日)第二十七回文学フリマ東京に参加予定。
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アイカツ!名ライブ数え唄③(第174話 Chica×Chica)+アイカツ武道館の話

 

fukafukadanchi.hateblo.jp

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皆さんが忘れたころに書きたくなったので書きます。

 

アイカツ!ミュージックフェスタ in アイカツ武道館!に行ってきました。

 

アイカツ!』『アイカツスターズ』の2作品の歌唱を担当してきた、STAR☆ANISとAIKATSU☆STARS!というユニットにとっては、最後のステージとなるこの舞台。

 

当初は仕事のお休みが重なる火曜日開催の1日目だけ参加する予定だったけど、あまりのことに、仕事が別に休みじゃない(半休も取れない)のに、ライブが終わった直後、当日券売り場に走って、2日目のライブチケットをとってしまいました。

 

結果、2日目はアンコール直前にようやく会場に着くことになったのだけれど、それでも、衝動に任せたこの判断は間違いではなかったと思うし、この年齢になってまで、理性よりもステージの上で感じた衝動が勝ってしまうほどの光景に出会えるのだと、観客席に身を置き続ける一人として、強く勇気を貰ったステージでした。

 

 

***

 

  

私にとって『アイカツ!』という作品とは何だったのかを振り返る時、必ず思い起されるのが、アイカツという物語の集大成とも言える、4thシーズンのスターライトクイーンカップにおける、紅林珠璃の『Chica×Chica』のステージだ。

 

この第174話のタイトルは『私のMove on now!』であり、ある種、物語的なスポットライトが最も当たっていたのは、この話の中でもう一つ披露された白樺リサが歌う『Move on now!』のステージだろう。これはアイカツというアニメシリーズの中でも一番最初に披露された、星宮いちごがアイドルになるきっかけとなった楽曲であり、紡いできたアイドルの文脈としても大きな意味を持つステージだった。

 

そもそも、3年目→4年目に移行するにあたって、物語は主人公である大空あかり有する3人組ユニット『ルミナス』が全国ツアーをしながら、各地のアイカツに触れて成長していく姿が中心となっていた。

 

紅林珠璃というアイドルは、大空あかりと同世代の『4人目』という立ち位置。4年目になっての出番は決して多いと言えるものではなく、ステージに立ったのも、ルミナスツアーのファイナルである、第165話の『はろー!Winter love♡』のスペシャルユニットに加わった1度だけだった。

 

紅林珠璃のソロのステージともなると、3rdシーズンの前半にあたる第115話まで遡らなければ観ることが出来ない。その間、新條ひなきとのユニット『情熱ハラペーニョ』や、天羽まどか、黒沢凛とのユニット『バニラチリペッパー』での活躍はあったが、実に1年以上もの間、一人のアイドルとしての紅林珠璃のステージは描かれてこなかった。

 

カメラが当てられていない以上、その間、紅林珠璃が1人のアイドルとしてどのように成長してきたのか、我々は想像する他なかった。

 

 

最初の話に戻る。私の中で『アイカツ!』という作品は何だったのか。

 

それは、いつだってステージが何よりも雄弁にアイドルの足跡を物語る作品であった。

 

 

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彼女の母親はドラマ『カルメン探偵』で名を馳せる大女優であり、自分の実力よりも、大女優の娘としての肩書きが評価され、その影に真正面から立ち向かうために、活動を休止して、実力をつけてスターライト学園への入学を勝ち取った努力家だった。

 

Sangria Rosaというブランドやフラメンコを基調とした情熱的な振り付けは、尊敬する母からの影響も、全てが”自分”であると肯定する強い意志も示し続けていた。

 

 

このサングリアロッサというブランド、紅林珠璃というアイドルのために作られたような楽曲にも拘わらず『Chica×Chica』という楽曲は前述の2ユニット(情熱ハラペーニョ、バニラチリペッパー)いずれでも歌われながら、ソロのステージが披露されたのは、この第174話が初めてだった。

 

新條ひなきとの『情熱ハラペーニョ』を経て、黒沢凛、天羽まどかとの『バニラチリペッパー』を経て、他の誰かと関わることで影響を受けながら、あるいは影響を与えながら、最後の最後に”誰か”と歌ってきた曲で一人に至る。

 

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1年前には表現できなかったであろう、ステージ上で見せたこの表情一発で、物語の中で描かれてこなかった、カメラが回っていなかった時間の中にも、確かに『紅林珠璃のアイカツ』はあったのだとを確信させられる。

 

アイカツという作品は、それを物語の中の言葉にするのではなく、ただただステージの上の僅かな表情の変化や表現力の中で語ってきた。

 

私は、その背中で語る姿が大好きで、物語の中以上に、ライブの中から彼女たちの歩みを見つけ出そうとしていた。毎週毎週がある意味戦いのようで、彼女たちのライブを繰り返し見るたびに新しい発見があって、一人一人が大好きになっていった。

 

もうその時点で、アイカツという作品と、そこで歌うアイドルたちは、私にとってのアイドルそのものであったのだと思う。

 

 

***

 

 

アイカツ!』の放送終了後、少し思うところがあって、作品と距離を置いていた期間があった。悪いのは自分自身でしかないという自覚があったので、今後はオープンな場所ではなく、ローカルな場所で思い出したように話をするだけにしようと思っていた。

 

新シリーズの『アイカツスターズ』も、いつしか観なくなっていた。

 

だけど、アイカツミュージックフェスタ初日で、るかさんの『START DASH SENSATION』の切実なステージを観て、何があっても2日目を見届けなくてはいけないと思わされた。

 

その2日目は、いろいろな楽曲に間に合わなかったけれど、アイカツスターズ2年目最後のオープニングで、主人公である虹野ゆめの歌唱担当である、せなさんが1人で歌いあげた『MUSIC of DREAM』には間に合った。

 

スターズを観なくなって久しく、その日初めて聴く楽曲だったのに、そのステージと言葉は、2日間のどのパフォーマンスよりも私の胸のど真ん中に突き刺さった。

 

まだ見ぬ私のことを
信じてくれるひと
あなたに届けたい
音楽を奏でよう

 

泣きそうになりながら、最後まで踏ん張りきって、毅然とこの言葉を歌った姿を観れたことを、自分の中で意味にしなくてはならないと強く思わされて、私は改めて『アイカツスターズ!』を観ている。

 

あの武道館のステージもまた、どんな物語よりも、ステージパフォーマンスが雄弁な意味を持つ場所だった。

 

 

アニメの3Dライブパートと現実のステージパフォーマンスは別物で、私が魅せられてきたのは前者だった。そうでなくても、アイカツという作品は声優さんと歌唱担当とが違う、アイドルアニメとしては珍しい形態で展開をしてきた作品だった。

 

それでも、あそこで目の当たりにしたのは、間違いなく、私がずっと大好きなアイドルたちのステージで『アイカツ!』のステージであったと心から確信できたのだ。